所得税・住民税ともに非課税の青色事業専従者等は定額減税調整給付金(不足額給付)の対象となるか?

 2024(令和6)年度に実施された調整給付金(当初給付)の支給額に不足が生じる人を対象に、その不足する金額を支給する給付(不足額給付)が各市区町村(2025(令和7)年1月1日時点で住民登録がある自治体)によって行われます。

 この不足額給付の対象となる人は、次の2つのケースに分かれます。

(1) 令和5年所得等を基に推計した令和6年分推計所得税額により算定された調整給付金(当初給付)と、令和6年分所得税および定額減税の実績額等により算定した本来給付すべき金額との間で差額(不足)が生じた人

(2) 本人が非課税または扶養親族に該当しなかったため定額減税の対象外であり、低所得世帯向け給付の対象世帯主・世帯員にも該当しなかった人

 上記のうち(1)のケースについては前回の記事「定額減税調整給付金(不足額給付)の対象となる人の具体例と給付額の計算例」で確認しましたので、今回は、(2)のケースに該当する人の要件を確認し、不足額給付の対象となる具体例を2例挙げます。

※ 調整給付金(当初給付)については、「調整給付金(定額減税補足給付金)の算定方法と疑問点の検証」をご参照ください。

1.申請型給付の対象となる要件

 先に見たように、不足額給付の対象となる人は2つのケースに分かれます。

 前回に確認した(1)のケースでは、市区町村が支給要件を確認し、給付対象者には2025(令和7)年6月頃から7月頃にかけて「支給のお知らせ」「確認書」などの通知が発送される予定です(プッシュ型給付)。

 今回確認する(2)のケースでは、下記の支給要件のいずれも満たす人が、原則として自ら申請書により申請する必要があります(申請型給付)※1

① 所得税及び個人住民税所得割ともに定額減税前税額がゼロ(≒本人として定額減税対象外)
② 税制度上、「扶養親族」から外れてしまう(≒扶養親族等としても定額減税対象外)
③ 低所得世帯向け給付※2の対象世帯の世帯主・世帯員に該当していない(≒一体措置の対象外)


 これら①~③の要件をすべて満たす人は不足額給付の対象となり、原則4万円が給付されます。
 ただし、2024(令和6)年1月1日時点で国外居住者であった場合は3万円となります(個人住民税分の1万円は給付されません)。

 不足額給付の対象となり得る可能性があるのは、次の①②の人です。

① 青色事業専従者、事業専従者(白色
② 合計所得金額48万超の人※3

 以下では、この2例について具体的にみていきます。

※1 多くの市区町村では、現時点で申請スケジュール等が公表されていませんが、すでに申請の受付を開始している市区町村もありますのでご注意ください。
 また、申請書による申請がない場合でも、課税資料等を基に上記支給要件を満たすことが確認できた場合には、給付金の通知を発送する市区町村もあります。
 申請開始時期や申請方法等は市区町村によって異なりますので、ご自身がお住いの市区町村にご確認ください。

※2 低所得世帯向け給付金とは、令和5年度非課税世帯への給付(7万円)、令和5年度均等割のみ課税世帯への給付(10万円)、令和6年度新たに非課税世帯もしくは均等割のみ課税となった世帯への給付(10万円)をいいます。

※3 合計所得金額については、「『合計所得金額』『総所得金額』『総所得金額等』の違いとは?」をご参照ください。

2.青色事業専従者、事業専従者(白色)

 下図における妻は、上記1の①~③の要件を満たすため、不足額給付の対象となります。

 下図における妻は、個人事業主である夫の個人商店を手伝う事業専従者ですので、税法上、配偶者控除・扶養控除の対象とならず、夫の定額減税において扶養親族等となりません(要件②)。

 また、妻自身の給与収入が概ね100万円に満たないため、所得税・住民税が課税されず、本人として定額減税の対象外となります(要件①)。

 さらに、世帯内に納税者(個人住民税所得割課税者)である夫がいるため、低所得世帯向け給付の対象に該当しません(要件③)。

 以上から、下図における妻は、不足額給付の対象となります。

3.合計所得金額48万超の人

 下図における父は、上記1の①~③の要件を満たすため、不足額給付の対象となります。

 下図における父は、年金収入が158万円以上あるため、合計所得金額が48万円を超えていますので、息子の定額減税において扶養親族等となりません(要件②)。

 また、父の年金収入は158万円~概ね170万円以下ですが、所得控除や本人の状況等により所得税・住民税ともに非課税となり、本人としても定額減税の対象外となります(要件①)。

 さらに、世帯内に納税者(個人住民税所得割課税者)である息子がいるため、低所得世帯向け給付の対象に該当しません(要件③)。

 以上から、下図における父は、不足額給付の対象となります。

※ 合計所得金額については、「『合計所得金額』『総所得金額』『総所得金額等』の違いとは?」をご参照ください。

定額減税調整給付金(不足額給付)の対象となる人の具体例と給付額の計算例

 2024(令和6)年度に実施された調整給付金(当初給付)の支給額に不足が生じる人を対象に、その不足する金額を支給する給付(不足額給付)が各市区町村(2025(令和7)年1月1日時点で住民登録がある自治体)によって行われます。

 この不足額給付の対象となる人は、次の2つのケースに分かれます。

(1) 令和5年所得等を基に推計した令和6年分推計所得税額により算定された調整給付金(当初給付)と、令和6年分所得税および定額減税の実績額等により算定した本来給付すべき金額との間で差額(不足)が生じた人

(2) 本人が非課税または扶養親族に該当しなかったため定額減税の対象外であり、低所得世帯向け給付の対象世帯主・世帯員にも該当しなかった人

 今回は、上記のうち(1)のケースに該当する人の具体例を4例挙げ、それぞれの場合の不足額給付の計算例について確認します((2)のケースについては、次回に確認します)。

※ 調整給付金(当初給付)については、「調整給付金(定額減税補足給付金)の算定方法と疑問点の検証」をご参照ください。

1.令和5年所得よりも令和6年所得が減少した人

 令和5年所得に基づく推計所得税額が6万円、所得税分のみの定額減税額が9万円、調整給付(当初)は3万円でした。

 その後令和6年所得が確定し、所得税額(実績)が4万5千円、所得税分のみの定額減税額が9万円となり、調整給付(実績)は4万5千円となります。

 この場合、調整給付(当初)3万円と調整給付(実績)4万5千円の差額は1万5千円となりますが、端数は1万円単位で切上げされるため、2万円が不足額給付として給付されます。

2.令和5年所得がなく、令和6年所得がある人

 令和5年中は学生で所得がなかったため、令和6年分推計所得税額、定額減税額がともに0円となり(定額減税の対象外)、調整給付(当初)も0円でした。

 令和6年中に就職したことにより、令和6年所得税額(実績)が6万円となったので、定額減税額(所得税分)の3万円分が減税され、所得税額は3万円となります。したがって、定額減税しきれない所得税の金額はありません。

 一方、定額減税額(住民税分)については、令和6年度分住民税が発生していないことから減税することができないため、住民税分の1万円が不足額給付として給付されます。

3.令和6年中に扶養親族が増えた人

 令和5年の扶養状況は2人(妻、子1人)だったため、所得税分のみの定額減税額は9万円((本人+同一生計配偶者1人+扶養親族1人)×3万円)でしたが、その後令和6年中に子どもが生まれて扶養人数が1人増えたため、所得税分のみの定額減税額が12万円((本人+同一生計配偶者1人+扶養親族2人)×3万円)となりました。

 令和5年所得に基づく令和6年分推計所得税額が6万円、定額減税額が9万円で調整給付(当初)は3万円でしたが、令和6年の所得税額(実績)が6万円、定額減税額が12万円となったことで、調整給付(実績)は6万円となります。

 これより、調整給付(当初)3万円と調整給付(実績)6万円との差額の3万円が不足額給付として給付されます。

4.税額修正により、令和6年度分個人住民税所得割が減少した人

 令和6年度住民税の当初決定時には個人住民税所得割額が2万円、個人住民税分のみの定額減税額が2万円のため、調整給付(当初)は0円でした。

 その後(当初決定後)に申告の修正を行い、個人住民税所得割が1万円に減少しました。

 不足額給付の計算時には減少後の個人住民税所得割で計算するため、個人住民税所得割が1万円、個人住民税分のみの定額減税額が2万円、不足額給付時の調整給付(実績)が1万円となりますので、調整給付(当初)0円と不足額給付時の調整給付(実績)1万円との差額の1万円が不足額給付として給付されます。