クライアントの皆様と顧問契約を締結する際に、顧問契約書にいくらの印紙を貼ればよいか質問されることがあります。
顧問契約書に貼る印紙については、相手の税理士が個人の場合と税理士法人の場合で取扱いが異なります。
今回は、税理士との顧問契約書に貼る印紙について確認します。
1.継続的取引の基本となる契約書か?
次の一般的な顧問契約書を見ながら、貼る印紙について確認します。
顧問契約書 委任者 ○○株式会社(以下「甲」という)と受任者 税理士○○(以下「乙」という)は、税理士の業務に関して下記の通り契約を締結する。 第1条 委任業務の範囲 第3条 報酬の額 |
上記の顧問契約書の内容から、まずこの契約書は、継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)に該当する可能性があります。第7号文書に該当する場合は、契約書1通につき一律4,000円の印紙を貼る必要があります。
ところで、第7号文書に該当するには「営業者間取引であること」が必要です。しかし、個人の税理士や弁護士等の士業は、印紙税法上の営業者には当たらないので、個人の士業との顧問契約書が第7号文書になることはありません。
一方、税理士法人は営業者に該当しますので、税理士法人との顧問契約書は第7号文書になります。
2.委任契約か請負契約か?
次に問題となるのが、上記顧問契約書の内容が委任契約か請負契約かということです。
委任契約書は、第1号から第20号までのどの課税文書にも該当しない不課税文書です。委任契約書であれば、印紙を貼る必要はありません。
委任契約か請負契約かの判定は、記載されている取引の内容について、成果物があるか否かによって区分します。
成果物がある場合は、請負契約となり、課税文書(第2号文書)になります。成果物がない場合は、委任契約となり、不課税文書になります。
上記顧問契約書の黄色マーカー部分に注目してください。第1条1項と4項で税務書類や試算表の作成を請け負っています。この税務書類や試算表が成果物となりますので、この契約書は課税文書(第2号文書)と判定され、印紙を貼ることになります。
もし、第1条において黄色マーカー部分の業務がなければ、具体的な成果物がないため、この契約書は委任契約書となり、印紙を貼る必要はありません。
3.記載金額はいくらか?
では、上記顧問契約書の記載金額はいくらになるのでしょうか?上記顧問契約書の青色マーカー部分に注目してください。契約期間が1年、月額顧問料が30,000円、法人税申告報酬が100,000円、消費税申告報酬が40,000円とあるので、30,000円×12か月+100,000円+40,000円=500,000円が記載金額となります。
なお、消費税の特例により、契約金額に消費税が含まれている場合は、消費税を除いた金額をもって記載金額とします。ただし、消費税額が明確であること、文書の作成者が課税事業者であることが条件です。
4.契約書に貼る印紙はいくら?
(1) 個人の税理士の場合
上記1と2より、契約の相手方が個人の税理士の場合は第7号文書にはなりませんので、上記顧問契約書は第2号文書になります。
上記3より、この顧問契約書の記載金額は500,000円ですので、第2号文書として200円の印紙を貼ることになります。
※参考:国税庁ホームページ「印紙税額一覧表(第1号文書から第4号文書まで)」
(2) 税理士法人の場合
一方、契約の相手方が税理士法人の場合は、第2号文書と第7号文書の両方に当てはまります。
印紙税法では、契約書が複数の課税文書に当てはまる場合は、最終的にどちらか一方の文書に該当することとされています。つまり、上記の例であれば、第2号文書と第7号文書のいずれかに該当するわけです。
第2号文書と第7号文書に該当する場合、最終的にどちらの課税文書になるかについては次のルールがあります。
記載金額がある場合 | 第2号文書 |
記載金額がない場合 | 第7号文書 |
上記3より、この顧問契約書の記載金額は500,000円ですので第2号文書に該当し、200円の印紙を貼ることになります。
なお、契約書に記載金額がない場合は、第7号文書として4,000円の印紙を貼ることになります。