役員や従業員に賞与を支給したときは、支給日より5日以内に「賞与支払届」を提出しなければなりません。
この届出により標準賞与額および賞与の保険料額が決定されるとともに、役員や従業員が将来に受給する年金額の計算の基礎にもなりますので、賞与支払届の提出を失念しないようにしなければなりません。
一方、賞与を支給しなかった場合は、「賞与不支給報告書」を提出します。
例えば、毎年12月20日に賞与を支給していた会社が、今年は不況のあおりで賞与を支給しなかったという場合は、賞与不支給報告書を提出することになります。
ところが、賞与を支給しなかった場合に、賞与不支給報告書を必ず提出しなければいけないかというと、そうでもありません。
以下では、賞与不支給報告書の提出の要否について確認します。
1.賞与支払予定月を登録している場合
社会保険(健康保険・厚生年金)の加入時に、新規適用届に賞与支払予定月を記入して提出している場合は、支払予定月の前月に日本年金機構から「賞与支払届」および「賞与不支給報告書」が送付されてきます。
賞与を支給した場合は賞与支払届(賞与支払届に印字されていても賞与の支給がなかった人については、該当者欄に斜線を引きます)を提出し、誰にも支給しなかった場合は賞与不支給報告書を提出します。
このように日本年金機構に賞与支払予定月を登録している場合に、いずれの被保険者にも賞与を支給しなかったときは、賞与不支給報告書を提出することになります。
なお、登録している賞与支払予定月の翌月までに報告書を提出しなかった場合は、翌々月に日本年金機構から催告状が送付されてきます。
2.賞与支払予定月を登録していない場合
社会保険加入時等に賞与支払予定月を登録していなくても、賞与を支給することができます。
この場合は、日本年金機構から賞与支払届は送付されませんので、賞与を支給したときは自社で賞与支払届を作成して提出する必要があります。
賞与支払予定月を登録していない場合は、賞与不支給報告書も日本年金機構から送付されませんが、この場合は、賞与を支給しなかったとしても賞与不支給報告書を提出する必要はありません。
賞与不支給報告書は、あくまでも賞与支払予定月を登録している場合に賞与を支給しなかったときに提出するものなので、賞与支払予定月を登録していない場合に賞与を支給しなかったとしても、賞与不支給報告書を提出する必要はありません。
なお、賞与支払予定月を登録していない場合に、毎年同じ時期に賞与を支給してきたからといって、賞与支払予定月を日本年金機構が勝手に登録するということはありません。
賞与支払予定月の登録は、新規適用届または事業所関係変更(訂正)届の提出等により行われます。
※ 役員賞与を支給しなかった場合の税務上の手続きについては、本ブログ記事「事前確定届出給与を支給しなかった場合のリスクを回避するための手続き」をご参照ください。