新型コロナウイルス感染症の影響により、国や地方公共団体から個人に対して助成金や給付金等が支給されています。今回は、こうした助成金等が所得税の課税対象となるかどうかについて確認します(参考;国税庁ホームページFAQ)。
1.新型コロナ関連助成金等の課税関係
新型コロナウイルス感染症の影響に関連して、国等から支給される主な助成金等の課税関係は次のとおりです。
(1) 非課税とされるもの
① 支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの
イ.新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(雇用保険臨時特例法7条)
ロ.新型コロナウイルス感染症対応休業給付金(雇用保険臨時特例法7条)
② 新型コロナ税特法が非課税の根拠となるもの
イ.特別定額給付金 (新型コロナ税特法4条1号)
ロ.子育て世帯への臨時特別給付金 (新型コロナ税特法4条2号)
③ 所得税法が非課税の根拠となるもの
【学資として支給される金品(所得税法9条1項15号)】
イ.学生支援緊急給付金
【心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金(所得税法9条1項17号)】
イ.低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金
ロ.新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金※
ハ.新型コロナウイルス感染症に感染したことによる見舞金
ニ.企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券
ホ.東京都のベビーシッター利用支援事業における助成
※緊急事態宣言中にも事業継続が求められる感染リスクが高い事業に勤務しなければならない心身の負担が相当高い従業員に対する事業主からの見舞金。慶弔規定で定められており、社会通念上相当であるものに限る。感染リスクの大小にかかわらず支給されるものや、感染リスクが同じであるにもかかわらず、特定の者のみにだけ支給されるものは給与所得として課税される。
(2) 課税されるもの
① 事業所得等に区分されるもの
イ.持続化給付金(事業所得者向け)
ロ.小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型〉
ハ.家賃支援給付金
ニ.農林漁業者への経営継続補助金
ホ.文化芸術・スポーツ活動の継続支援
ヘ.東京都の感染拡大防止協力金などの自治体独自の給付金
ト.雇用調整助成金
チ.小学校休業等対応助成金
リ.小学校休業等対応支援金
② 一時所得に区分されるもの
イ.持続化給付金(給与所得者向け)
ロ.しながわ活力応援給付金などの自治体独自の給付金※
※東京都品川区は、外出自粛要請等に伴う区民の負担を軽減し、区全体の活力を取り戻すための取組として、2020年(令和2年)4月27日時点で品川区に住民登録のある区民に「しながわ活力応援給付金」を1人当たり3万円を給付。中学生以下の児童には2万円を加算して5万円を給付。4月28日以降に出生した子どもにも1人につき5万円を給付。
③ 雑所得に区分されるもの
イ.持続化給付金(雑所得者向け)
2.新型コロナに関連しない助成金等の課税関係
新型コロナウイルス感染症の影響とは関係なく、国等から支給される主な助成金等の課税関係は次のとおりです。
(1) 非課税とされるもの
① 支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの
イ.雇用保険の失業等給付(雇用保険法12条)
ロ.生活保護の保護金品(生活保護法57条)
ハ.児童(扶養)手当(児童手当法16条、児童扶養手当法25条)
ニ.被災者生活再建支援金(被災者生活再建支援法21条)
② 租税特別措置法が非課税の根拠となるもの
イ.簡素な給付措置(臨時福祉給付金)(措置法41条の81項1号)
ロ.子育て世帯臨時特例給付金(措置法41条の81項2号)
ハ.年金生活者等支援臨時福祉給付金(措置法41条の81項3号)
③ 所得税法が非課税の根拠となるもの
イ.学資として支給される金品(所得税法9条1項15号)
ロ.東京都認証保育所の保育料助成金(所得税法9条1項15号)
ハ.休業補償(所得税法9条1項17号)※
※労働基準法76条により、労働者が業務上の負傷等により休業した場合に支給。
(2) 課税されるもの
① 事業所得等に区分されるもの
イ.肉用牛肥育経営安定特別対策事業による補てん金
ロ.小規模事業者持続化補助金(一般型)
② 一時所得に区分されるもの
イ.すまい給付金
ロ.地域振興券
ハ.通学先から支給される目的を特定していない支援金
③ 雑所得に区分されるもの
イ.企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における割引券(通常時のもの)
ロ.東京都のベビーシッター利用支援事業における助成(通常時のもの)
④ 給与所得に区分されるもの
イ.慶弔規定によらない危険手当などの手当
ロ.休業手当※
ハ.緊急事態宣言解除後相当期間経過後に支給が決定される事業主からの見舞金
※労働基準法26条により、使用者の責に帰すべき事由により休業した場合に支給。