所得税の修正申告をした場合の予定納税

1.所得税の予定納税とは?

 その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合、その年の所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納付するという制度があります。この制度を予定納税といいます。
 予定納税は、予定納税基準額の3分の1の金額を、第1期分として7月1日から7月31日までに、第2期分として11月1日から11月30日までに納めることになっています(特別農業所得者以外)。
 例えば、予定納税基準額が15万円の場合は、第1期分5万円を7月31日までに、第2期分5万円を11月30日までに納付しなければなりません。予定納税基準額が15万円未満の場合は、予定納税の必要はありません。
 なお、予定納税額は、所轄の税務署長から、原則としてその年の6月15日までに書面で通知されます。

2.修正申告により予定納税基準額が15万円以上になった場合は?

 当初の確定申告では、予定納税基準額が15万円未満だったために予定納税の必要が無かったところ、その後に修正申告をしたために予定納税基準額が15万円以上になったとします。この場合は、新たに予定納税をする必要があるのでしょうか?
 例えば、その年の9月に修正申告をした結果、予定納税基準額が15万円になったとします。この場合、第1期分5万円の納期限は過ぎていますので、第1期分と第2期分の合計額10万円を第2期分の納期限である11月30日までに納付するのでしょうか?
 それとも、第1期分を無視して第2期分5万円だけを11月30日までに納付するのでしょうか?
 また、その年の12月に修正申告をして予定納税基準額が15万円以上になった場合は、すでに第1期分と第2期分の納期限が過ぎていますので、予定納税は修正申告後に速やかに行うのでしょうか?

 答えは「その年の5月15日後(5月16日以後)に行った修正申告により予定納税基準額が15万円以上になったとしても、予定納税の必要はない」ということです。

 冒頭で述べたように、 その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合に、予定納税が必要です。
 国税庁ホームページ法令解釈通達105-1では、予定納税基準額の計算の基準日について、次のように定めています。

105-1 所得税法第105条に規定する「その年5月15日において確定しているところ」とは、確定申告若しくは修正申告又は更正若しくは決定等の処分によりその年5月15日において定まっているところをいうのであるから、確定申告に対して更正の請求がされ、又は更正若しくは決定等の処分に対して再調査の請求若しくは審査請求等がされている場合においても、その判定をすべき日までにあった確定申告若しくは修正申告又は更正若しくは決定等のうち、最終のものにより定まっているところによるべきことに留意する。

 つまり、その年の5月15日までに行った修正申告については予定納税基準額の計算に反映されますが、5月15日を過ぎて行った修正申告については予定納税基準額の計算に 反映されないということです。