所得税と個人住民税の所得控除額の違い

1.所得税はかからないのに住民税はかかる?

 個人住民税(市民税・県民税)は、前年の所得を基礎として課税されます。例えば、2022(令和4)年度の個人住民税は、2021(令和3)年分の所得を基礎として計算されます。
 2021(令和3)年分の年末調整や確定申告をした結果、所得税を納める必要のない人でも、2022(令和4)年度の個人住民税は納めなければならない場合があります。これは、所得税と住民税の計算方法の違いに起因するものです。
 今回は、所得税と住民税の計算方法のうち、所得控除額の違いについて確認します。

※ 住民税が非課税となる場合については、本ブログ記事「住民税非課税世帯とは?」をご参照ください。

2.所得控除額の相違点

 所得税と住民税の所得控除額の相違点は、次のとおりです。

種類 所得税 住民税

雑損控除

次のうち、いずれか多い方の金額
① (損失額-保険金等による補てん額)-総所得金額等の10%
② 災害関連支出の金額-5万円
同左
医療費控除 (1) 従来の医療費控除
 最高 2,000,000円
(2) セルフメディケーション税制
 最高 88,000円
同左
社会保険料控除 支払った保険料の全額 同左
小規模企業共済等掛金控除 支払った第1種共済掛金と心身障害者扶養共済掛金等の全額 同左
生命保険料控除 (1) 一般の生命保険料
 新契約 最高40,000円
 旧契約 最高50,000円
(2) 介護医療保険料
 最高 40,000円
(3) 個人年金保険料
 新契約 最高40,000円
 旧契約 最高50,000円
(4) (1)~(3)の合計額
 最高 120,000円
(1) 一般の生命保険料
 新契約 最高28,000円
 旧契約 最高35,000円
(2) 介護医療保険料
 最高 28,000円
(3) 個人年金保険料
 新契約 最高28,000円
 旧契約 最高35,000円
(4) (1)~(3)の合計額
 最高 70,000円
地震保険料控除 (1) 地震保険料
 最高 50,000円
(2) 旧長期損害保険料
 最高 15,000円
(3) (1)と(2)の合計額
 最高 50,000円
(1) 地震保険料
 最高 25,000円
(2) 旧長期損害保険料
 最高 10,000円
(3) (1)と(2)の合計額
 最高 25,000円
寄附金控除 特定寄附金の額-2,000円 税額控除
障害者控除 (1) 普通障害者
 270,000円
(2) 特別障害者
 400,000円
(3) 同居特別障害者
 750,000円
(1) 普通障害者
 260,000円
(2) 特別障害者
 300,000円
(3) 同居特別障害者
 530,000円
寡婦控除  270,000円  260,000円
ひとり親控除  350,000円  300,000円
勤労学生控除  270,000円  260,000円
配偶者控除 (1) 一般の控除対象配偶者
 最高 380,000円
(2) 老人控除対象配偶者
 最高 480,000円
(1) 一般の控除対象配偶者
 最高 330,000円
(2) 老人控除対象配偶者
 最高 380,000円
配偶者特別控除  最高 380,000円  最高 330,000円
扶養控除 (1) 一般扶養親族
 380,000円
(2) 特定扶養親族
 630,000円
(3) 老人扶養親族
 480,000円
(4) 同居老親等
 580,000円
(1) 一般扶養親族
 330,000円
(2) 特定扶養親族
 450,000円
(3) 老人扶養親族
 380,000円
(4) 同居老親等
 450,000円
基礎控除  最高 480,000円  最高 430,000円