返還されない敷金・保証金と「不動産の使用料等の支払調書」

1.返還されない敷金等は支払調書を提出

 法人が個人に支払った不動産の①地代、②家賃、③権利金、④礼金、⑤更新料は、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が15万円を超えるものについては、不動産の使用料等の支払調書(以下「支払調書」といいます)を作成して税務署に提出しなければなりません。
 一方、法人が法人に支払った上記①~⑤のうち、15万円を超える③~⑤については支払調書を税務署に提出しなければなりませんが、①と②は提出不要です。

※ 提出範囲の金額基準の15万円は、原則として消費税および地方消費税の額を含めて判断しますが、消費税および地方消費税の額が明確に区分されている場合には、その額を含めないで判断しても差し支えありません。

 なお、上記の③権利金とは、地上権、地役権の設定あるいは不動産の賃借に伴って支払われる権利金をいい、敷金、保証金等の名目のものであっても返還を要しない部分の金額及び月又は年の経過により返還を要しないこととなる部分の金額を含みます。
 したがって、返還されない敷金・保証金については支払調書の提出が必要です。
 例えば、法人が個人に対して建物の賃借に伴い300万円の保証金を支払いましたが、その保証金の50%相当額については、賃貸借契約上、返還されないことが明らかだとします。この場合は、その保証金の50%相当額である150万円と、その年中に支払われる家賃の金額を支払調書の「支払金額」欄に記載して税務署に提出します。

2.返還されない敷金等に係る支払調書の提出時期

 また、返還されない敷金、保証金等については、返還されないことが確定した都度、その年分の支払調書を提出することになります。
 敷金や保証金として賃貸人に提供される金額は、本来は賃借人の債務を担保するものであり、それ自体は賃貸人の収入となるものではありませんが、敷金や保証金などの名目で授受されるものの中には、当初から、あるいは一定期間が経過すれば、その全部又は一部が賃貸人に帰属することが契約書上で取り決められているものもあります。
 このようなものは、その実質が権利金や更新料等と何ら変わらないものであり、不動産所得の収入金額となりますが、その収入金額の計上時期は、必ずしもその賃貸借契約の終了時ではなく、返還を要しないことが確定した都度、その確定した金額を収入金額として計上することになっています。
 したがって、支払調書についても返還されないことが確定した日の翌年の1月31日までに、その確定した金額を支払金額として記載して提出することになります。